この句は『唐津』のうち「吉野 一」に収められている。したがって場所は吉野山ということになる。「山人」は山を仕 …
陀羅尼助でござりますると蟇『唐津』
陀羅尼助(だらすけ)は腹痛の薬。吉野・大峯山の山伏たちが広めたとされる、古くからある薬で、元禄の頃に商品化さ …
咲く花も散りゆく花もすべて如意『唐津』
句集『唐津』(2012)の帯には「富士、近江、吉野をへて西海の唐津へとたどる旅の句集」とあり、掲句は「吉野 …
へうたんの形の春の愁ひあり『唐津』
何とも判じ物めいた句である。春愁は、心浮き立つ春に理由もなく感じるつかみ所のないアンニュイだ。その気持ちに形 …
住吉の松の高さよのどかさよ『海の細道』
住吉の松は、大阪市住吉一帯の松林。作者は、『海の細道』の旅のはじめに大阪市・住吉大社へお参りした。住吉大社に …
鶯や主三百年の留守『海の細道』
元禄四年(一六九一)四月十八日から五月四日まで十七日間、芭蕉は京都嵯峨にある去来の別荘落柿舎に滞在し『嵯峨日 …
鮒ずしといふ湖に残る雪『海の細道』
鮒ずしは、近江地方の名産品。日本古来の代表的ななれずし(発酵食品)である。春、琵琶湖で捕った子持鮒を夏まで塩 …
冬の月さし入る舟に涅槃かな『海の細道』
『海の細道』は芭蕉が夢見た西国への道を辿った紀行。この句は第一章中「芭蕉の夢」の後の「杜甫の舟」の最後に出て …
人変はり天地変はりて行く秋ぞ『震災句集』
2011年3月11日、東日本大震災が起きた。文字通り、天地は一変し、人の暮らしも一変せざるを得なくなった。こ …
みちのくの果ての果てまでけふの月『震災句集』
「みちのく」こと陸奥国はもともと道奥国(みちのおくのくに)と呼ばれ、いわば本州の果ての地として認識されていた …