2011年3月11日、東日本大震災が起きた。文字通り、天地は一変し、人の暮らしも一変せざるを得なくなった。こ …
みちのくの果ての果てまでけふの月『震災句集』
「みちのく」こと陸奥国はもともと道奥国(みちのおくのくに)と呼ばれ、いわば本州の果ての地として認識されていた …
桐一葉さてこの国をどうするか『震災句集』
掲句は、『震災句集』(2012年)所収。一句前に「首相退陣」という前書きを持つ〈政局や今ごろにして柳ちる〉の …
迎へ火や海の底ゆく死者の列『震災句集』
東日本大震災では、19,765人が亡くなり、2,553人が行方不明だ(令和5年3月1日時点)。その多くは津波 …
雲の峰ふるさと今もあるごとく『鶯』
本句集の掲句の一つ前の句は〈ふるさとは入道雲の湧くところ〉である。まるでクレヨンで描いたかのような色鮮やかな …
生涯のかかるところに虹かかる『鶯』
最初の「かかる」は、ラ行変格活用「斯かり」の連体形だから、「かかるところ」は、こんなところという意味。二つ目 …
軽やかな雪駄つくらん竹の皮『鶯』
軽やかな句である。まず、「せった」の促音や「らん」の撥音が軽快。もし「ぞうり(草履)」や「げた(下駄)」だっ …
戦せぬ紙の兜のめでたしや『鶯』
五月五日の端午の節句に飾る兜。戦国武将は意匠を凝らし、兜の正面に立てた「鍬形」などの飾りで、その存在感をアピ …
山はみな浮きつ沈みつ桜かな『富士』
山々に桜が点在している様を「浮きつ沈みつ」と表したことで、桜を含めた山肌が波打って迫りくるような躍動感に満ち …
乾坤に投げ入れてある椿かな『富士』
「投げ入れてある椿」だけでは、壺をはみ出すように活けられた大ぶりの枝を詠んだにすぎないが、「乾坤に」とくれば …